乃木オタ大学生の日記

2X歳、男。はだサマ新規。真夏さん、れんたん推しです(ロリコンではない) ラノベとかも読みます

乃木坂ロワイヤル 七瀬編5

七瀬編5


(七瀬と一実と離れちゃった...どうしよう)
落とし穴に一実が落ちていくのを私は呆然と見つめていた。七瀬のように咄嗟に動くことはできなかった。
(待っててって言ってたけど、七瀬は怪我したみたいだったし、来られるのがいつになるのか分からない。そもそも七瀬と一実は2人で行動したいはずだし...)
私は自分が2人のお荷物になっていることは自覚していた。条件がきついこともそうだし、2人の頭の回転の速さにはついていけない。そもそも、昔から築かれてきた信頼関係のある2人に混じっていることが不自然なのだ。それでも、1人で行動するという選択は恐ろしくてできなかった。
(七瀬が言った言葉を信じよう)
私は2人が迎えに来るのを待つことにして、近くにあった教室に恐る恐る入る。幸い、中には誰もいないようだった。
(小百合と万理華と順番が近かったらな...)
私にも仲の良い友達はいる。それがその2人だった。しかし流石に順番が遠すぎて一緒に行動することは叶っていない。
(せめてどこかで会えたら)
そんなことを考えながら座っていると、ドアが開く音がする。2人が迎えにきたには少々早すぎる気がする。慌てて銃を構える。
「誰!?」
「日芽香...?」
まさに会いたいと思っていた存在がそこにあった。
「小百合!」
構えていた銃を手離し、駆け寄る。
「よかった!無事だったんだね。」
「うん...日芽香も無事でよかった」
小百合がほっとしたように言う。
「万理華は?一緒じゃないの?」
「一緒だったけど...」
今にも泣き出しそうな小百合を見て、私は察してしまった。
「誰にやられたの?」
「絵梨花から私を庇って...」
梨花の凶行は続いているようだった。ゲーム開始直後、私達が襲われたときに逆にとどめを刺しておければ...そんな考えが浮かんでしまう。
「せめて私だけでも生き延びないと...」
「うん、そうだよ。頑張ろう?」
私もショックだが、目の前で親友が死ぬのを見てしまった小百合はもっとショックだろう。そう思って小百合を励ます。
「そうだよね、だから...」
そう言ってこっちを真っ直ぐ見つめる小百合。
「ごめん、日芽香」
「え...」
ぷつっ。一瞬にして私の意識は途切れた。

「私の条件は万理華が生存していること。だから、私が生き延びるにはもうみんな殺すしかないの...ごめんね、日芽香。せめて苦しまないように殺せて良かった。」
万理華が殺されたときには絵梨花が乱発した弾の一つが私を庇った万理華の肺を貫き、万理華は呼吸が出来ない苦しみと自分が死に近づく恐怖を感じながら死んでいった。絵梨花は弾切れを起こして撤退していたおかげで私は助かったが、せめて日芽香にはそんな辛い思いはさせたくなかった。
「2人の分まで生きてみせる...だから、見守ってて」
日芽香のことを自分で殺したのにも関わらずそんなことを呟く。私は既に考えることをやめていた。頭にあるのは全員を殺すこと。自分が生きて帰ること。その2つだけだった...

「日芽香...」
日芽香の亡骸を前にして、思わず声に出して呟いてしまう。日芽香の死に顔は決して安らかとは言えなかった。目を見開いて口も半開き、何かに驚いているようにも見える。外傷は眉間に空いた一つの穴だけであるため、より表情のインパクトが強い。
(こめかみに一発で即死...銃の扱いがずば抜けて上手いか、よほど近くで撃ったか...)
後者なら騙し討ちの可能性が高い。だとしたら気を付けないと。
(敵は絵梨花みたいに分かりやすく危険な相手だけじゃないんだ...)
既に私は死ぬ覚悟は出来ているが、七瀬を生きて帰らせることが出来る確信が得られるまでは死ねない。
(とりあえず七瀬のところへ戻ろう...)

「日芽香が...そんな」
一実から日芽香のことをきいて私は後悔で頭がいっぱいになった。
(私があのとき日芽香のそばにいれば。せめて落ちても怪我さえしてなければ間に合って助けられたかもしれないのに...)
何も出来ない自分に腹が立つ。
「日芽香のことは残念だったけど...頭を切り替えないと」
直接日芽香の死体を見た一実の方がショックを受けたに違いないが、その分自分たちに近づいてくる危険にも敏感になっているようだ。
「日芽香、至近距離で撃たれたのかもしれない。そうしたら騙し討ちの可能性が高いからそういうのも警戒しないといけない」
「そんな...」
もはや何も信じられないと言っているようなものだ。
「じゃあどうすれば」
「籠城しようと思う」
一実がすかさず言う。
「幸い、私たちの条件は何もしなくても時間が経てば勝手に満たされる。だから無理に動くことはないと思うんだ。最終的には誰かとやり合わないといけないかもしれないけど...奇跡的に条件が満たされた人しか残らない可能性もあるし。食糧さえあらかじめ確保しておければ大丈夫」
「でも」
私が動けない以上、食糧確保に行くのは一実なのだ。2人の何日分もの食糧を無理に探そうと動き回ると、その分敵に遭遇する可能性もあがる。
「もう私は襲われたら助からない...だから今ある食糧は全部一実が使って。それで、24時間経ったら私を置いて移動して。」
「七瀬!」
「一実はきっと私といるときに襲われたら、私を見捨てて逃げることができないと思う。だったらもう別行動してもらった方がいい」
一実が私を見捨てないというのに根拠があるわけではなかったけれど、一実が私を庇って死んでしまう様子が何故か脳裏に浮かんだ。そんなのが現実になるくらいなら死んだ方がマシだ。
「七瀬」
一実が穏やかな顔で言う。
「2人で、帰ろう?」
「一実...」
そんな優しく言われたら、帰りたく、なってしまう。2人で、もっと生きたいと思ってしまう。
「だから、私が無事に帰ってくるのを祈ってて」
「ふふっ、帰って来るのを待つなんて夫婦みたい」
こんな時だが2人で笑みがこぼれる。
「わかった、その代わり絶対無事で帰ってきて」
こくり。一実が頷く。
「七瀬も気をつけて。私以外の誰かが来たら迷わず撃って」
撃てる自信はなかったが、一実を安心させるために頷く。
「一実、これ、着ていって」
その場で制服の上を脱ぎ、防弾チョッキを外して手渡す。
「は〜七瀬の肌のぬくもりを感じるな〜」
一実が茶化すように言う。
「馬鹿なこといってないで、早く着た着た」
「はーい」
こんなくだらないやりとりをこれからもずっとしたい。そんなことをふと思う。
「じゃあ、行ってくる」
「うん、気をつけて」
本当に夫を送り出す妻のようだ。違うのは無事に帰ってこられる保証がどこにもないということ。
(でも一実なら無事に帰ってくる)
ドアの向こうに消えていく一実の姿を見つめながらそう信じることしか、私には出来ないのだった...

(七瀬...ごめん)
また嘘をついてしまった。2人で帰ろうだなんて願いが絶対叶わないことは自分が一番よく知っているのに。
(それでも七瀬には生きて帰って欲しい)
それは私のわがままなのだ。きっと七瀬は私が死んで生きることなんて望んでいない。
(でも...最後のわがままくらい、許してね)
そんなことを考えながら私は保健室を出ていくのだった...

乃木坂ロワイヤル 七瀬編4

七瀬編4


「...よし、そろそろ移動しようか」
梨花から逃げてだいぶ経った。追いかけて来てはいないようだ。近くで物音もしない。鞄に入れていたペットボトルの水を少しだけ飲む。
「出るとき一番気をつけないとね...」
教室から出るところを襲われたら最悪だ。
ドアをあけ、周りを伺う。
「誰も居なさそう、かな」
ほっと一息ついて教室から出る。背後も警戒しつつ、3人で廊下を移動する。
カチッ。なにかスイッチが作動したような音がする。頭の中で危険を察知する警報がけたたましく鳴る。一瞬後、2人より一歩先を歩いていた一実の姿が視界から沈み込んでいくのがスローモーションのように見えた。
「っ!」
「一実!」
落とし穴だと気付いた時には体が勝手に一実の方へ駆け出していた。日芽香はまだ動けない。体が宙に浮く。ぐきり。すぐに衝撃が足に伝わる。片足から着地してしまい、鋭い痛みが襲ってくる。先に落ちた一実の方を見ると、着地の時に膝を使い上手く衝撃を逃したようで、両足で立っていた。上を見ると下に向かって観音開きに開いた床が閉じていく。
「日芽香!すぐ上にもどるから!」
「う、うん!待ってる!」
床が閉じる。
「早く上に戻ろう」
私はそういって歩き出そうとするが、
「うっ」
右足が激痛を放ち動かせない。足元を見ると変な方に曲がっている。
「七瀬!」
一実が駆け寄ってくる。
「折れてるよ...とりあえず治療しないと」
「でも日芽香と合流しないと!」
無理やり足を動かそうとする。ぐらり。上体が傾く。一実が慌てて支えてくれる。
「このままじゃ無理、幸い保健室の目の前だからさ、一旦落ち着こう?」
そういって一実が私を抱え上げる。保健室へ入り、私をベッドに寝かせる。
「とりあえず折れた足、固定するね。私が前に折った時に先生がやってくれたのの見よう見まねだけど」
少し手間取りつつも一実が手当をしてくれる。
「一実...ごめん」
私は激しく後悔する。なぜあそこで駆け出してしまったのか、何もできないのに。結局、一実はなんともないのに私だけ足手まといになってしまった。一人残して来てしまった日芽香も心配だ。
「...ふふっ」
「一実?」
なぜ一実が嬉しそうに笑ってるのか検討もつかなかった。
「いや、なんでもない。今のも飛び降りたことも気にしないで」
一実がそう言う。
「でも...結局私は足手まといに」
「いいから」
そういって有無を言わせない一実。
「よし、できた」
見た目は少し悪いが、折れたふくらはぎの上下太ももから足首までしっかり固定されているようだ。
「ありがとう...日芽香の様子を見に行こう、杖になるものないかな」
「あのねぇ...この状態で歩き回るつもり?」
呆れたように言う一実。
「そんなに日芽香が心配なら私が見てくるから」
「でも」
「さっき自分でも言ってたでしょ?足手まといって。流石にこの状態の七瀬は私でも守りきれないよ」
わざと意地悪な言い方をして私を無理やり説得する。
「でも一実の条件が...5分以上離れちゃいけないんでしょ?」
日芽香と離れてからはもうとっくに5分以上経っている。一実が条件を満たすためにはもう私と一緒にいるしかないはずだ。
「私の条件は24時間以上一緒にいることだけで、開始時からとは決まってない。だから戻ってから一緒にいれば大丈夫。まだ開始から3時間くらいしか経ってないから全然今からのリセットなんて問題ないよ」
携帯で時計を見ると16:35を示していた。
「...分かった。ごめん、お願い...」
「はいよ」
一実が笑って応え、ドアを開けて出ていく...

(そうだ、私は七瀬を守るって決めてたんだ...)
落とし穴に落ちた私に向かって咄嗟に駆け出してくれた七瀬。合理的な判断ではない。でもその姿を見て、私は昔のことを思い出していた。

私と七瀬は昔、山で遭難したことがある。家族ぐるみでのキャンプの最中に、私が七瀬を誘って親の目を盗んで抜け出したのだ。私達はちょっとした冒険のつもりだったが、気付くと帰り道が分からなくなっていた。私は食糧を確保する為に川で魚を獲ろうと潜っていたときに、足がつってしまい溺れた。七瀬はそんな私の姿に気付くと、自分は泳ぎがあまり得意ではないくせに咄嗟に飛び込んだのだ。七瀬は必死に私の手を掴み、私のせいで沈みそうになりながらも川岸に引っ張っていってくれた。幸い、流れは速くなかったので、2人で息絶え絶えになりながらもなんとか岸に辿りつくことができた。
「ごほっごほっ...助かった...なーちゃん、ありがとう...ごめん」
「ごほっ...えへへ、かずみんが無事でよかったぁ」
七瀬は自分も死にかけたにも関わらず、私が無事で良かったと笑った。その時だ。私がこの幼馴染の女の子を一生守ろうと誓ったのは。
その後、私はテレビで見た火の起こし方を思い出しながら必死で火をつけ、その煙を見つけた大人達に救助してもらった。この出来事で七瀬は私に助けられたと思っているみたいだけど、助けられたのは私の方だ。

(七瀬は頭がいいくせに、人がピンチなのを見ると咄嗟に動いちゃうんだから...本当に危なっかしい。でもそんな人の為に自分をかえりみない七瀬だからこそ、守りたいって思ったんだ)
そういえば昔はなーちゃん、かずみん、なんて呼び合っていたことを思い出す。いつのまにか恥ずかしくなって呼ばなくなってしまったけど。
私はやっぱり七瀬が大好きだ。だからまた嘘をついた。今度は七瀬を殺す為ではなく、守る為の嘘を。
(私の本当の条件を言ったらとんでもない無茶をしそうだからなぁ...)
思わず苦笑いする。
(とりあえず日芽香と早く合流しないと)
あの優しい幼馴染を安心させるためにも。
2階に再度登り、先ほど落ちた辺りまで周りを警戒しながら進む。
(どこかの教室に隠れてるのかな)
そう思い、近くにあった教室の扉を慎重に開ける。
中にあったのは、目を見開いたまま頭を撃ち抜かれた日芽香の死体だった。

乃木坂ロワイヤル 七瀬編3

七瀬編3


「まずはどうしようか...ずっとここにいても日芽香の条件クリアできないし」
「ごめん...私がいなければ2人がクリアできるのは分かるんだけど、どうしても1人は怖い...」
「そりゃ誰だってこんな状況じゃ1人は心細いよ」
そういえば私たちより先に出た子や後に出た子達はどうしたのだろうか。
後に出たみなみや未央奈は仲がいいからそこは2人で行動しているとして、最初に出た真夏と仲がいいのは最後に出た若月だ。
若月は玲香と行動しようとした可能性もあるが...どっちにしても落ち合う場所を決める手段もなかった以上、1人で行動している気もする。そうやって考えていくと
「3人以上で行動している組が私達以外にある可能性は低そうだから、とりあえず動いてみる?数の上では有利だし、いきなり仕掛けてくることはないんじゃないかな」
「確かに...食糧も確保しておくに越したことはないし」
一実が賛同する。動くしかない日芽香も頷く。
「拳銃は...とりあえず威嚇用にもっておくってことで」
むしろ恐怖感を与えて刺激してしまう可能性もあるが、丸腰であると思われて襲われる方が怖い。
「奇襲には気をつけなきゃね、武器によっては一気に全滅する可能性もあるし...」
「武器によってはって...?」
日芽香が青ざめる。
「あるのかは分からないけど、マシンガンとか手榴弾とか...」
「もう無理...絶対無理だって」
日芽香が泣きそうな顔になる。
「動くのは危険だけど、どんな武器があるのか確かめて手元に置いておくだけでも有利になる。動かないでいてもどんどん食糧も減ってジリ貧になるだけ。だから勇気を出して動こう」
一実が言う。
「...うん、頑張る」
日芽香が声を絞り出す。
「よし、行こう」
そう言って立ち上がる。それぞれが自分のリュックを背負う。ここにいる3人ともがリュックで来ていたのは幸いだった。手が塞がることがないので動きやすい。
「とりあえず校舎にもどろうか、特別教室棟の方にいってみよう」
私達の学校の校舎は教室棟と特別教室棟が平行に並んでいて、各階二箇所で繋がっている。特別教室棟にあるのは理科室や家庭科室、職員室などだ。
今いる剣道場へは私達の教室から特別教室棟を通って来たので、ここからだと特別教室棟の方が近い。
3人で剣道場を出て校舎に入る。 
「曲がり角には気をつけないとね...」
そう言って教室前の廊下を覗き込む。すると絵梨花が拳銃を片手に立っていた。向こうもこちらに気付く。
「っ!」
反射的にこちらに拳銃を向けてくる。パァン!と弾ける音がしてこちらとは少し離れた方に銃弾が飛んで行く。
「一旦逃げよう!」
後ろから覗き込んでいた一実がすかさず言う。私と一実が近くにあった階段を駆け上り、状況の把握が出来ていない日芽香が一歩出遅れてついてくる。後ろを振り向くと絵梨花が追いついてきて日芽香に銃口を向けていた。私は一発、威嚇のつもりで絵梨花の方に撃つ。
「いつっ!!」
どうやら絵梨花の肩を掠めてしまったようだ。絵梨花はその場でうずくまる。私達は2階へ登り、近くにあった教室に転がり込むようにして隠れる。
「はぁ、はぁ...絵梨花はもう完全にやる気みたいだね...」
肩で息を切らせながら一実がいう。
「はぁ、うん...最初に銃を向けてきただけなら、威嚇の可能性もあったけど...追いかけて来たときには完全に日芽香の背中を狙ってた」
日芽香が青ざめる。こちらが3人いるのを見ても躊躇なく撃ってきたところをみると、他人のことが全く信用できなくなるほど厳しい条件を引いたのかもしれない。
「それに、私も絵梨花を撃っちゃったからもう絵梨花とは完全に敵対しちゃったね...」
「あれは仕方なかったと思う。とりあえずしばらくここで息を潜めよう。絵梨花が追いかけてくるかもしれないし、無闇やたらに逃げると他の人からも不意打ちされるかもしれない」
そう言って一実が部屋の隅にある木箱を指差す。
「運良くまたアイテムが手に入るみたいだしね」
「ホントだ...」
また食糧が確保できるかもしれないという期待と、恐ろしい武器が入っていたらどうしようという恐怖が混じる。
「開けるよ...」
一実が蓋を持ち上げる。中に入っていたのは...
「何?これ」
パッと目に入ったのは黒い塊だった。持ち上げてみるとベストのような形をしている。
「防弾チョッキってやつかな」
「これは嬉しいね、でも二つしかない...」
「いいよ、二人が着て。私は運動神経には自信があるから」
一実が言う。
「でも...」
「いいっていいって。これ、多分服の下に着るやつだから後ろで着替えてて。私はドアを見張っておくから」
そういって一実はこちらに背を向ける。
「分かった、ありがとう...」
そういって私と日芽香は着替え始める...

今なら二人は丸腰...まず七瀬を撃って、それから狼狽える日芽香を撃てば一気に片付けられる...そんなことを考えてしまう。
(もし七瀬が私以外に殺されたら?絵梨花もゲームに乗っていたし、他の子ももうやる気になっている可能性は高い。そうしたら七瀬は無駄死に...ならせめて私の手で)
そんな打算的な考えに頭が支配されて行く。でもいざ動き出すことはできない。
「一実?ありがとう。着替え終わったよ」
(ふぅー...)
七瀬を殺すチャンスをまた一つ失ったことにほっとする。
(でも、誰かに殺される前に殺さないと)






乃木坂ロワイヤル 七瀬編2

七瀬編2

「これからみなさんには殺し合いをしてもらいます」
スピーカーから無機質な合成音で作られた言葉が流れてくる。
「...は?」
一瞬教室が静まり返った後、一気にざわつき出す。
「どういうこと?」「殺し合いって...」「ドラマの撮影?ドッキリ?」
様々な言葉が飛び交い、収集がつかなくなる
「はい、静かに静...」「ドッキリか!もう心臓に悪いな〜」
誰かがそう言い、落ち着きを取り戻し始める教室。
「残念ながらドッキリではありません」
「またまた〜うちらを嵌めようとしてもそうはいかないよ?受験生なんだし、そんなのに付き合ってる暇ないって」
そう言うのは私たちの中では成績優秀で、難関大学を目指している里奈。
「もうドッキリって分かっちゃったし、いい反応なんて撮れないから早くネタばらししてよ」
「これがドッキリでないという証拠をお見せしましょうか?」
「あーもう、そういうのいいから」
里奈が少し苛立ったように返す。
「...」
私の頭の中で嫌な予感が横切る。
(本当にドッキリ?それにしては大掛かり過ぎる気が...ドアの改造なんて一朝一夕で出来ることじゃないし)
そんなことを考えていると
「ーっ!?」
突然里奈が痙攣し始める。そして、少し離れた私の席からでも分かるくらいに血の気が引いていく。一瞬戸惑って誰も動けなくなる。
「里奈!どうしたの!?」
近くにいた日芽香が声をかけて近寄る。しかし反応はない。その内に里奈の痙攣が止まる。
「里奈...?」
日芽香が声をかけながら肩を叩く。里奈の体が傾いていくのがスローモーションのように見えた。再び一瞬誰も動けなくなる。
「里奈!!」
日芽香と、その近くにいた若月も駆け寄る。
「嘘...」
若月が思わずといったように声を上げる。
「脈がない...」
「そんなバカな」
一実が赤ちゃんがいやいやするように首を振る。
「そっか!里奈も仕掛け人だったんだ!手が込んでるな〜確かに勉強頑張ってる里奈がこんなのに手を貸すと思わないし、効果は絶大だったけどね」
笑って誤魔化そうとする一実。
「一実」
そんな一実に非情な現実を告げる若月。
「これはドッキリじゃない。この里奈はみんなが知ってる里奈だし、自分で脈を止めることはできない」
「その通り」
スピーカーから音が流れ、思い出したようにみんながそっちを向く。
「お分りいただけましたか?あなた方の首についている首輪には致死性の毒が入っていて、こちらからあなた方をいつでも殺すことができます。これでもまだ分からないのであればその方々には順次死んで頂くことになりますが」
黙り込むクラスメイト達。
「物分かりがよろしいようで結構。それではルール説明に参りましょうか」
私たちが何も言えない間に、話が勝手に進行していく。みなみが頑張って泣き声をあげないようにしているのが視界の端に入る。
「ルールはいたってシンプルです。誰か一人になるまで殺し合ってもらう。古き良きバトルロワイヤルですね」
「古き良きって」
だが似たような話は私も本で読んだことがあった。
「ですが、それだけでは面白くないので新しくルールを追加させていただきます」
「面白くない...」
誰かが思わず呟く。それを無視して無機質な声が続ける。
「全員に一つずつ条件を与えます。その条件がクリアできれば最後の一人でなくとも生きて帰ることができるものとします。
つまり、一人以外が全員死ぬ、または生存しているのが条件を満たした人のみになることでゲーム終了となります。ただし、その条件は自分以外の誰かが確認することはできません。一人一人個別にこちらから条件を口頭で伝えます。条件をクリアしても特にこちらからアナウンスはしないので、しっかり自分で条件は覚えておいて下さいね」
つまり、条件が競合していない人と仲間になろうとしても、それを確認する術はないというわけだ。頭がクラクラしてくる。
「今の時刻が12:10ですので、12:15から一人ずつ5分おきに外に出てもらいます。その際、自分の鞄は持って下さって結構です。隣の部屋で条件をアナウンスし、その後どこへ行くかはお任せします。行動可能範囲は学校の敷地内で、外に出ようとするとセンサーが作動して生駒さんのようになるので気をつけて下さい。校舎の至る所に武器や食糧が配置してあります。自由に使って下さい。出る順番は名前の順で秋元さんからお願いします」
「私...?」
真夏が怯えたような声をあげる。
「はい、ちなみに順番通りに出ないとセンサーが作動してしまうので気をつけて下さい。欠席者と生駒さんの順番は飛ばして下さい」
(私は11番目、13:05からスタート。圧倒的に不利...)
みんながこんなゲームに乗るとは思いたくないが、甘い期待もできない。物語でもクラスメイト同士が殺しあっていたのだ。
(不利だけど、一実は順番が近いのは救いかな...)
順番は一実のあとに日芽香を挟んで私だ。一実の方をみると、一実もこちらをみていた。目が合い、軽く頷きあう。
(きっと一実は待っていていてくれる...)
そう考えると、心が少しだけ軽くなった。日芽香も含めて3人で行動すれば1人でいるよりは圧倒的に心強い。
「ゲームの開始は16番目の若月さんが出るのが13:30ですので、13:40からとします。それまでどこに行くのも自由ですが、武器の使用や攻撃は控えて下さい。13:40以前に攻撃した人はルール違反とし、退場して頂きます」
退場、とはつまりそういうことなのだろう。誰もなにも言えないまま沈黙が続く。
「ゲーム開始と終了のアナウンスは全校に流します。それでは時間ですので秋元さん、隣の教室に移動をお願いします。他の方は自分の席で静かに座っていて下さい」
真夏がよろめきながら立ち上がり、自分の手提げ鞄を持って教室から出て行く。ドアは電子制御になっているようだ。他の生徒達は席で俯いて震えていたり、真っ直ぐ前を見つめていたりしているが「席で静かに座っている」という指示は絶対のものとして遵守している。私自身も後ろの席からみんなの反応を気にしてはいるが、迂闊に動けないのは同じだ。
(とにかく条件次第ではあるけど...自分の条件は口頭でしか伝えられない以上、信じ合える人と組むしかない)
私はクラスメイト達とはそれなりに仲が良いつもりではあるが、やはりこんな状況下でも信じられる人となると一実くらいだ。
そんな事を考えながら無限にも一瞬にも思える時間が経ち、私が出る番がやってきた。筆記用具くらいしか入っていないリュックを背負い教室を出ると、一実と日芽香が待っていた。
「先に出た人はどこかへ行っちゃったみたい」
日芽香が暗い面持ちでいうが、想定の範囲内だ。むしろ一実と日芽香が待っていてくれただけで充分。
「条件をきいてきて、そしたら私たちもどこかへ移動しよう」
里奈が死んだ時にはうろたえていた一実だが、もう状況に適応したみたいだ。一実は普段はおちゃらけていても頭は切れる。
「うん、行ってくる」
そう言って1人で教室に入る。すると、先ほどと同じ無機質な声が流れてくる。
「西野 七瀬の条件は...」
「...」
唾を飲み込む
「24時間以上生存すること」
「...え?」
(それだけ?)と思わず聞き返しそうになる。しかし、もう用は済んだと言わんばかりにスピーカーの電源が切れる。半ば惚けたように教室を出て2人と合流する。
「とりあえず情報共有は移動してからにしよう」
一実がいう。
「どこか行くあてがある?」
「剣道部の部室。剣道場の奥にあるから見晴らしがいいところを絶対に通らないといけないんだ。だから、誰か来ても分かるはず」
「なるほど...」
そう言って一実の先導についていく。本当に一実は頭が切れる。こういうときの一実は頼もしい。一度、2人で山登りしたときに遭難したことがあり、その時も一実のおかげで助かったのだ。
幸か不幸か、剣道場に着くまで誰にも会うことはなかった。
「みんなどこにいるんだろうね...」
日芽香が呟く。やはり、先にどこかへ行ってしまったということは戦う意思は少なからずあるということなのだろう。自分も人のことはいえないが、悲しくなる。
「とりあえず情報共有しよう。2人とも条件はなんだった?」
一実が尋ねる。
「私は...首輪を三つ以上集める」
「3つか...少なくとも3人は亡くなってる人を見つけるか、倒さないとだね...」
そう一実が言う。やはり殺すという表現は躊躇われるのだろう。
(私のと難易度が全然違う...ということは)
「七瀬は?」
「24時間以上生き残る...」
「嘘だ!」
日芽香が叫ぶ
「そんなに簡単な条件なわけない!なんで嘘つくの?」
(こういうことか...)
確かに私の条件は一見簡単そうではある。しかし、それを他の人が確認出来ない以上、それを信じてもらうことは難しいという大きなデメリットも抱えているということだ。
(どうしよう...)
今更適当な条件を言っても信用して貰えるとは思えない。そんなことを考えていると
「嘘じゃないと思う」
一実が言う。
「一実...?」
「もし仮に七瀬の条件が私たちにとって危険なものだったとしたら、日芽香の条件をきいたあとで同じような難易度の条件をでっち上げることが出来たはず、それくらい七瀬の頭の回転は速い」
「で、でも。頭が良いならそこまで読んででっち上げたのかもしれないじゃん!」
「それに」
一拍空けて一実が言う。
「私は七瀬を信じてるから」
「一実...」
思わず涙ぐみそうになる。
「...わかった。私も2人を信じる。幼馴染の2人に比べると浅いかもしれないけど、そうするしかないし」
日芽香も少し落ち着いたようだ。
「それにね、日芽香には申し訳ないんだけど、私の条件もそこまで難しくはないんだ」
「そうなの?」
「うん、私の条件は24時間以上、生存している同一人物と行動を共にする。5分以上離れちゃだめみたいだけど」
「なんだ...じゃあ私だけが難しいのか...」
日芽香が思いつめたような顔をする。
「うん、だからまず武器とか食糧を集めて身を守る術を確保しよう。それから少し動いてみて、その...もし亡くなってる子がいたら首輪をもらおう」
「そうだね...私も自分の命がかかってるとはいえ、自分から殺すのは...首を切らなきゃいけないのだけでも嫌なのに」
やはり日芽香も自分から積極的に戦うつもりはないようだ。
「よし!そうと決まればとりあえず食糧とかを探さないとね。至るところに配置したって言ってたけど、ここにもあるのかな?」
「あ、それならさっきから気になってたんだけど...」
そう言って私は部室の隅にある木箱を指差す。
「この部室って相当年季入ってるけど、あれだけ真新しくない?」
「ホントだ、話に夢中で全然気づかなかった」
3人で木箱に近寄る。
「空けてみるね」
恐る恐る一実が蓋を持ち上げる。
「っ...」
中には小型の拳銃が3丁と、剣道場だからか鞘に収まった日本刀が一振り入っていた。
「本当に殺し合い、するんだね...」
改めて現実を突きつけられた感じがする。
「一実、日本刀使う?」
「いやー、真剣はちょっと使ったことないし...」
当たり前だが剣道部員でも日本刀は厳しいようだ。
「とりあえず1人一個持っとこうか...」
ご丁寧に予備のマガジンと取り扱い説明書まである。初めてでも安心というわけか。
「あ、奥の方に食糧があった。とりあえずこれ食べようか」
そういえば朝に学校に来てから何も食べていない。気付いた途端にお腹が空いてくる。乾パンと水が4つずつ入っていたので、一つを3人で分けて水で流し込む。残りはそれぞれ鞄にしまう。
「そろそろ時間かな...」
一実が呟く。
「うん、そろそろなはず」
私たちは後発ではあったけど、とりあえずの食糧と武器を手に入れただけ良かった。
「さて、これからどこに行こうか...」
そう言いながら私は思考を巡らせていく...

ー少し前ー
「高山 一実の条件は...西野七瀬を殺害すること」
「そんな...」
私は絶望した。クラスメイト達とは仲が良いつもりだが、こんな状況下でも絶対に信頼できるのは七瀬だけ、そう思って七瀬と条件が競合しないことだけを祈っていたのだが...
(このゲームを考えた奴ら、悪趣味過ぎる...)
私と七瀬が旧知の仲なのは当然リサーチ済みでの条件なのだろう。反吐がでそうだ。
七瀬と力を合わせて切り抜けるという当初の予定を崩され呆然としていると、私たちの教室から日芽香が出てきた。
「一実...待っててくれたのは一実だけ?」
「うん、やっぱりみんな自分のことが大切みたい」
なんとか平静を保って答える。
「そっか...一実もきっと私を待っててくれたんじゃなくて七瀬を待ってるんだよね」
日芽香が落ち込んだように言う。
「それもそうだけど、日芽香とも一緒に行きたいって思ってるよ。日芽香が裏切るような子じゃないって信じてるし」
「ありがとう...」
実際は、七瀬の前に日芽香がいなかったら七瀬と2人で行動していたとは思うが、そう言っておく。
(こういう、表面だけ取り繕って良い顔する所、大っ嫌い...)
と自分で思う。
「とりあえず条件をきいてくるね」
そう言って日芽香が私が出てきた教室に入っていく。
(ゲームに乗るにしても乗らないにしても七瀬と一緒に行動するのがベストな選択かな)
しかし七瀬の条件が私を殺すことだったら。そう思って躊躇してしまう。
(でも私は七瀬を信じてる)
自分自身が七瀬を殺そうかどうか迷っているにも関わらず、そんなことを考えている。
日芽香が青ざめた顔で教室から出てくる。
「...」
「きつい条件みたいだね...とりあえずここだと誰がきいてるか分からないから、あとで情報共有しよう」
そう言って七瀬を待つ...

剣道場の部室で七瀬の条件をきいたときには一切疑うことはなく、むしろほっとした。
(よかった、七瀬はそんな簡単な条件で...)
七瀬はこういう時に嘘はつかないと思っている。だから、ますます自分の条件が恨めしい。
七瀬の条件をきいたあとで、疑われないであろう難易度の適当な条件をでっち上げる。七瀬も日芽香もそれを信じたようで、心に棘が突き刺さる。
(私が生きて帰るためには、七瀬を殺すか、クラスメイト全員を殺すしかない...)
拳銃を持つと、そんな考えに頭の中が染まっていく。
スピーカーの電源が入る音がする。

「時間です。これよりゲームを開始します」

乃木坂ロワイヤル 七瀬編 1

七瀬編1

「これから皆さんには殺し合いをしてもらいます」
どこかで聞いたことのあるようなセリフ。その一言が放たれたのは私達が通っている女子校の教室だった。

終業式の日に夏休みのスケジュール表が配られ、その中に登校日の文字を見つけみんながため息をついている中、私は気になる記述を見つけた。
(8/20は3-6のみ...?)
しかし、他のところを見ても他のクラスだけが登校する日はないようだ。そのことにクラスメイト達も気付き、徐々にざわつき始める。
「どうしてうちらだけ」「意味わかんない」
「はいはい、静かに」
そういって担任が説明し始める。
「うちのクラスだけ遅れてる科目があるから夏休みにやっちゃおうってことでこういうスケジュールになりました。もちろん進んでる科目もあるから、9月にはどこかで代休をとれると思います」
そう担任がいうと周りは納得したようで、おしゃべりを再開する。しかし、
(どの科目の先生からも授業が遅れてるなんて聞いたことない...それに進んでる科目があるならどうしてその時に遅れてる授業をやらないの?先生の都合がつかない?でも...)
と、私は納得できなかったが、隣の席の子に話しかけられてそんな疑問は流れていってしまった。

夏休みは学生にとっては基本的には楽しいものであるはずだが、私達受験生にとってはそうもいかない。勉強漬けの毎日が続き、気付けば例の3-6だけの登校日になっていた。
(あ、そういえば...)
休み前に感じた疑問を思い出したが、やっぱり大人の都合なのだろうと適当に納得し、幼馴染の高山一実と一緒に登校する。
一実とは家が隣同士。幼稚園の頃から小中高と今に至るまでずっと同じクラスで、いわゆる腐れ縁の幼馴染だ。
「勉強進んでる?私は数学がどうしても苦手でさ〜...」
「分かる!でもR大は英語の方が難しいから数学ばっかりに時間割いてられないよね」
などと受験生らしい会話をしながら学校に向かう。一実とは同じR大学を目指しているから対策などの情報も共有しやすい。
「でも今日はなにやるんだろうね?そんなに遅れてる科目あったかなぁ」
「いや、なかったと思う...だから何持って来ればいいか分からなくて筆記用具しか持ってないや」
「私も〜まあ学校に着けば分かるか」
などと話してる内に学校に着く。正門を通り、昇降口で上履きに履き替えて3階の教室に向かう。その途中、カメラがいくつも設置されてるのが目に留まった。
(防犯カメラ...?夏休み中に増設したのかな。それにしても多すぎる気が...)
しかし一実は気付かないようで、勉強の息抜きに見ていたドラマの話を熱く語っている。
「そこで初森の投手がさ...!」
「あ、教室着いたから一旦落ち着こ?」
苦笑いしながら熱くなった一実をなだめる。
教室に着くと私たち以外のクラスメイトはほとんど揃っていた。どうやら話に夢中になっていて歩くペースがだいぶ落ちていたようだ。
「一実と七瀬遅〜い」
入り口近くの席に座っているみなみが可愛く膨れる。
「ごめんごめん、でもまだセーフでしょ?」
笑いながら一実が言う。
「それにしてもみなみがちゃんと来るなんて意外だね〜」
「まあ来たくはなかったけど一応受験生だしね...それはみんなも同じでしょ」
確かに周りを見渡すと欠けている席が一つもない...いや
「麻衣は?」
「あ〜、なんかお母さんが急に倒れちゃって来られないみたい」
(麻衣以外は全員出席、か...)
そこでチャイムが鳴り、慌てて自分の席に着く。鞄からとりあえずペンケースとルーズリーフを取り出そうとしたところで異変に気付く。
(何、この匂い...?頭がぼーっとして...)
だけど気付いた時には周りを見渡す余力もなく、机に突っ伏して意識が闇に落ちていった。

「...きて、七瀬、起きて」
「...んん?」
顔を上げると、隣の席の美彩だった。
「あ、やっと起きた。もう、七瀬が一番最後だよ?」
だんだん意識が覚醒してくる。ここは学校で...そこでさっきの異臭を思い出す。
「そうだ!さっきのは何?ここにいたらまずいんじゃ...」
「七瀬、落ち着いて」
美彩が諭すように言う。
「七瀬が寝てる間にもう私たちは一通り騒いだんだ、さっきの異臭はなに?ってね。そして出ようとした。でも...」
「でも?」
「出られなかった」
美彩がドアを指差す。
「鍵が掛かってる。見た目は変わってないけど、中身が全然違うみたい。4人がかりで体当たりしてもダメだった。携帯の電波も入らない。」
「そんな...」
「それと自分の首、触ってみて」
言われるがままに触ってみると違和感がある。首を一周するようになにかついているようだ。美彩の首を見ると、銀色の細い首輪がついていた。
「みんなの首にこれがついてるみたい」
得体の知れないものが首についているとしり、背筋が寒くなる。
「あと、黒板を見て」
言われて見てみると大きな字で 12時まで待て と書いてある。その脇にある時計を見てみると11時45分を指そうとしているところだった。突然色々な情報が入りすぎて頭がくらくらする。
「私が目覚めたのは10:30頃で、比較的早い方だったんだけどその時は大変だった。ドアを破ろうとしたり、破れないと分かってパニックになったり。でも玲香とか若月がみんなを落ち着かせてくれたんだ、とりあえず12時まで待とうって。万が一夜になっても全員が帰れなかったら親たちが絶対に気付いて警察を呼んでくれるからって。それで私もやっと落ち着いて、隣でぐーすか寝てる七瀬に気付いたってわけ」
美彩が最後ににやっとしながら茶化してくれたことで、私の心にも少しだけゆとりが生まれた。周りを見渡してみると、やはりこれから何が起こるか不安なようでその話ばかりしているみたいだ。
「美彩はこれから何が起こるんだと思う?」
「さぁ...なるようになるしかないんじゃない?」
美彩はいつも同級生とは思えないくらい落ち着いている。さっき自分は取り乱していた、と言っていたのも信じられないくらいの落ち着きようだ。
美彩にこれ以上問いかけても反応は得られそうにないので、あとは12時まで自分で思考をまとめる時間にあてることにする。
(改造されたドア、首輪、異臭は催眠ガス?あとは異常な数のカメラ...)
考えがまとまるどころか疑問ばかり増えていく。そんな中、校内放送のスピーカーの電源が入る音がして、みんなの視線がスピーカーに集まる。12時だ。

乃木坂ロワイヤル

真夏さんとかずみんの「忘却と美学」を聴いていて思いついた妄想ネタです。

だいぶ長編になる予定です。


第1章:七瀬編
一実との友情物語、王道編
第2章:飛鳥編
一人で戦い抜こうとする飛鳥、そんな飛鳥を気にかける人物が...
第3章:真夏編
若月と一緒に生きて帰ろうと誓う真夏。しかし...
第4章:???編


各章は同一物語の別視点ではなく、パラレルワールド的なのを想定しています。


タイトル通り元ネタは「バトルロワイヤル」と、あとは「ダンガンロンパ」や「シークレットゲーム」要素が多いかもしれないです。


携帯のメモ帳でぽちぽち書いてツイッターに載せてたんですが、文字数が思ったより多いのでブログにまとめます。(思い出したようにブログ使うマン)


もし読んでくれる方がいらっしゃいましたら、一言でもコメントを残して下さると嬉しいです!

総選挙感想2

一晩経って落ち着いたので総選挙の感想を述べていきたいと思います。

 

でも結果に関しては特に触れることないかな。。。元々5年くらい前にAKBグループは齧ってたので、そのころからいる子たちが選抜に入ってるのは胸熱でした。

が、いかんせん離れていた期間が長すぎて順位に感動、とかはあんまりありませんでした。

 

スピーチについて。

発表見ていたのは選抜からなんですが、流石というべきか選抜に入る子たちはみんないいこといいますね。。。特に印象に残ったのが須田、惣田ちゃん、そしてじゅりです。

だーすーは昔からいるので知ってますが、ここまで来るとはって感じです。スピーチが終始笑顔だったのが印象的でした。

惣田ちゃんは今回初めて知ったんですが、この人も苦労人なんですね。本当にカッコいいスピーチでした。

そしてじゅり。あのメッシがここまで熱いとは知らなかったです、お恥ずかしい。結婚騒動があったからこそ、じゅりの熱さがより深く印象付けられました。

 

 

そしてなんといっても「おぎゆか」ですよね。。。

本当に今回の総選挙のMVPだと思ってます。

自分が総選挙を初めてリアルタイムでみたのは第4回総選挙からなのですが、そのときは結果に一喜一憂していた反面、「でも結局本人たちの力じゃなくてファンの力なんだよな、努力ってなんだよ」とどこか冷めた目で見ていました。

しかし自分もまだ若輩ながら年を重ね考えも変化し、人を動かす力、人を巻き込む力、人を惹きつける力というのはまさしく個人の一能力であるという考えに変わりました。

そしてそれは、生まれ持った才でもあるけれども、努力で身に着けられるものでもあると、自分は思っています。(その考えは真夏さんをみていて至ったものです)

おぎゆかは、正に努力によって、人を惹きつけ、動かし、巻き込んだのだと思います。

 

 

「私は、努力は必ず報われるを今、証明できていますか?」

 

「私をアイドルにしてくれて、ありがとう、ございました」

 

 

この二つの言葉は本当に名言だと感じています。

努力は必ず報われる、を証明するためには報われない努力はない、ということを証明する必要があります。それは悪魔の証明であり、到底実現できることではないけれど、

それでも、おぎゆかは間違いなく、努力は報われるの一つを見せてくれました。

 

おぎゆかは、自分のことを全く知らないであろうメンバーや観客にも涙を流させる力があります。

ミッツさんもいっていたように、本当にこれからが楽しみな子です。総選挙をきちんと見ていた人みんながそれを感じたのではないのでしょうか。

来年もおぎゆかの涙を見たい、そう思った総選挙でした。

 

 

。。。タイトル、ドルオタ大学生の日記に変えようかな